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公開日 2026.08.03 更新日 2026.08.04

個人事業主がお金を借りる方法とは?融資の種類と審査通過のポイントを解説

個人事業主が事業資金を用意する際、どこから借りるべきか、審査に通るのか不安を感じる方は少なくありません。
借入先には、日本政策金融公庫や銀行、制度融資、ビジネスローン、カードローンなどがあり、それぞれ金利や審査基準、融資までの期間が異なります。

本記事では、個人事業主が利用できる主な借入方法に加え、申込の流れ、審査で重視されるポイント、借入以外の資金調達方法を解説します。
急な支払いや開業直後の資金不足に備えるためにも、自分の事業に合う方法を確認してぜひ参考にしてみてください。

個人事業主はお金を借りられる?融資利用の基本

個人事業主でも、運転資金や設備資金などを融資で調達できます。
ただし、会社員より売上や所得が変動しやすいため、確定申告書や売上帳簿、資金使途、返済計画などを用いて事業の継続性と返済能力を示すことが重要です。

また、自己資金の有無や税金・公共料金の納付状況、信用情報も確認される場合があります。
借入前に資料と資金管理を整え、売上見込みや変動への対策を具体的に説明できるよう準備しましょう。

個人事業主がお金を借りる主な方法と借入先の種類

個人事業主が利用できる借入先には、公的金融機関、民間金融機関、自治体の制度融資、ノンバンクなどがあります。
それぞれ金利、審査基準、融資までの期間、必要書類が異なるため、必要額や資金使途に合わせて選ぶことが大切です。

また、借りやすさだけでなく、返済負担も比較しなければなりません。
ここでは、個人事業主がお金を借りる主な方法と借入先の種類について解説していきます。

低金利で借りやすい日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、創業直後や事業実績が少ない個人事業主でも相談しやすい公的金融機関です。
民間金融機関と比べて低い金利で利用できる制度があり、初めて事業資金を借りる方にも適しています。

一方で、事業計画や資金使途、返済見込みは細かく確認されるため、申込前の準備が欠かせません。
そのため、売上予測や必要資金の内訳を具体的にまとめ、確定申告書や見積書などもそろえておきましょう。

また、窓口で相談すれば、事業内容や創業時期に合う融資制度を案内してもらえます。
制度ごとに対象者や条件が異なるため、申込前に公式情報を確認することも大切です。

銀行・信用金庫・信用組合などの民間金融機関

銀行や信用金庫、信用組合では、まとまった事業資金を比較的低い金利で借りられる可能性があります。
しかし、過去の事業実績や所得の安定性、返済能力を慎重に審査されるため、創業直後は利用しにくいこともあるでしょう。

一方で、地域に根差した信用金庫や信用組合は、事業内容を相談しながら申込を進めやすい傾向があります。
そのため、確定申告書や事業計画書を用意し、これまでの実績と今後の見通しを具体的に説明してください。

また、普段から事業用口座を利用して取引実績を積むと、資金の流れを示しやすくなります。
複数の金融機関で金利や返済条件を比較することも大切です。

地方自治体の制度融資

地方自治体の制度融資は、自治体、金融機関、信用保証協会が連携して個人事業主を支援する仕組みです。低金利や保証料の補助を受けられる場合がありますが、対象業種、融資限度額、返済期間などは地域によって異なります。

また、赤字でも改善の見込みや返済計画、制度要件を示せれば相談できることがあります。
一方で、事業収入や返済原資がない状態では利用が難しいため、補助金や支援制度、専門機関への相談も含めて検討してみてください。

商工会議所・商工会のマル経融資

マル経融資は、商工会議所や商工会の経営指導を受けている小規模事業者が、日本政策金融公庫から事業資金を借りる制度です。
原則として無担保・無保証人で利用できるため、担保を用意しにくい個人事業主にも向いています。

しかし、一定期間の経営指導を受けることや、税金を完納していることなど、複数の条件を満たさなければなりません。そのため、利用を考えている方は、地域の商工会議所や商工会へ早めに相談してください。

また、経営指導では、資金繰りや収支計画について助言を受けられます。
申込準備と事業の見直しを同時に進められる点も特徴です。

ノンバンク・ビジネスローン

ノンバンクのビジネスローンは、銀行融資より審査や入金が早い商品が多く、急な仕入れ代や外注費を用意したい個人事業主に適しています。
一方で、金利が高めに設定される傾向があり、返済期間が長いほど負担も増えます。
そのため、借入額、金利、手数料、総返済額を比較し、短期のつなぎ資金として慎重に利用してください。

また、赤字でも改善の見込みや返済計画を説明できれば相談できることがありますが、事業収入や返済原資がなければ正規の借入は極めて限定的です。

即日借入も可能なカードローン

カードローンには、申込から審査、借入までを短時間で進められる商品があり、急な支払いに対応しやすい点が特徴です。
しかし、すべての商品が事業資金に使えるわけではなく、利用目的を生活費に限定している商品もあります。
そのため、申込前に事業資金として利用できるかを必ず確認してください。

また、カードローンは金利が高めに設定される傾向があり、借入期間が長くなるほど返済負担も増えます。
必要額だけを借り、短期間で返済できる計画を立てることが大切です。
即日融資を優先しすぎず、金利や利用条件も比較したうえで判断しましょう。

個人事業主が融資を申し込む流れと手順

個人事業主が融資を申し込む際は、資金使途と必要額を整理したうえで、借入先を選び、必要書類をそろえます。準備が不十分なまま申し込むと、追加資料を求められたり、審査が長引いたりすることもあるでしょう。

また、面談では事業内容や返済計画について説明を求められます。
ここでは、個人事業主が融資を申し込む流れと手順について解説していきます。

事前準備から借入実行までのステップ

融資を申し込む前に、まず資金の使い道と必要額を明確にし、返済に無理がないかを確認します。
次に、事業計画書や収支計画書を作成し、条件に合う金融機関や融資制度を選びましょう。
申込後は、確定申告書や本人確認書類などを提出し、書類審査や面談を受けます。

また、審査中に追加資料を求められることもあるため、売上資料や通帳、見積書も整理しておくと安心です。
審査に通過したあとは、契約手続きを行い、指定口座へ資金が振り込まれます。
希望する時期に資金を受け取るためにも、余裕を持って準備を始めてください。

申込時に求められる必要書類一覧

融資の申込では、本人確認書類のほか、開業届の控え、確定申告書、収支内訳書、事業計画書などが求められます。
これらは、事業の実態や収益状況、返済能力を確認するための重要な資料です。

また、融資制度や資金使途によっては、納税証明書、事業用口座の通帳、設備の見積書、許認可証の提出を求められることもあります。
そのため、申込先の案内を確認し、必要書類を一覧にして準備しましょう。
数字や事業内容に食い違いがあると、追加確認が必要になります。

個人事業主の融資審査で重視される5つのポイント

個人事業主の融資審査では、事業の将来性だけでなく、返済能力や信用力も総合的に確認されます。
特に、自己資金、事業計画、所得の安定性、信用情報、税金などの支払い状況は重要な判断材料です。

また、1つの項目だけで審査結果が決まるわけではなく、複数の要素を合わせて判断されます。
ここでは、個人事業主の融資審査で重視される5つのポイントについて解説していきます。

自己資金がどれだけ用意できているか

自己資金は、事業に向けてどの程度準備を進めてきたかを示す材料であり、特に創業融資で重視されます。
希望額のすべてを借入で賄おうとすると、返済余力や計画性に不安を持たれることもあるでしょう。
そのため、通帳の残高だけでなく、毎月積み立ててきた履歴も示せるようにしておくことをおすすめします。

また、申込直前にまとまった金額を入金しただけでは、自己資金として認められないことがあります。
資金の出所を説明できるようにし、借入希望額とのバランスも確認しておくことが大切です。
自己資金を用意しておけば、融資後の運転資金にも余裕を持たせやすくなります。

事業計画書の具体性と実現可能性

事業計画書では、どのような商品やサービスを誰に提供し、どの程度の売上と利益を見込むのかを具体的に示します。
売上予測の根拠が曖昧では、返済の見通しも判断しにくくなるでしょう。
そのため、顧客層、販売方法、価格、仕入先、競合との違いなどを整理し、数字と行動計画を結び付けて説明してください。

また、希望的な予測だけでなく、事業環境や実績に基づいた現実的な計画が求められます。
第三者が読んでも内容を理解できるよう、専門用語を避けて簡潔にまとめることも大切です。

確定申告書から見る所得の安定性

確定申告書は、個人事業主の売上や所得、経費の状況を確認するための重要な資料です。
金融機関は、過去数年分の申告内容を見て、収益が安定しているか、無理なく返済を続けられるかを判断します。

また、赤字や大幅な減収があると、理由や今後の改善策を確認されることもあるでしょう。
そのため、一時的な設備投資や取引先の減少など、数字が悪化した理由を具体的に説明できるようにしてください。
季節によって売上が変動する事業では、月別の売上資料も役立ちます。所得額だけでなく、経費を適切に管理しているかも確認される点に注意が必要です。

信用情報に傷がないか

信用情報には、ローンやクレジットカードの契約内容、返済状況、延滞や債務整理の履歴などが記録されています。金融機関は融資審査の際に信用情報を確認するため、長期の延滞があると審査に影響することもあるでしょう。

また、分割払いにしている携帯端末の代金を滞納した場合も、信用情報に記録されることがあります。
そのため、返済履歴に不安がある方は、申込前に信用情報機関へ開示を請求し、登録内容を確認してください。
万が一、事実と異なる情報が記録されている場合は、登録元へ訂正を申し出る必要があります。

税金や公共料金の滞納がないか

税金や社会保険料などの滞納は、資金管理や返済能力に不安があると判断される要因になります。
特に、日本政策金融公庫や制度融資では、納税証明書の提出を求められることがあり、未納があると申込を進められない場合もあるでしょう。
そのため、所得税、住民税、消費税、国民健康保険料などの支払い状況を事前に確認してください。

また、すでに納付している場合は、領収書や納税証明書を保管しておくと説明しやすくなります。
万が一、未納分を一括で支払えないときは、放置せずに税務署や自治体へ相談することが大切です。

借入以外で個人事業主が資金調達する方法

個人事業主の資金調達方法は、金融機関からの借入だけではありません。
補助金や助成金、ファクタリングなど、返済を伴わない方法や売掛金を活用する方法もあります。

一方で、申請条件や手数料、入金までの期間は方法ごとに異なるため、内容を理解して選ぶことが大切です。
ここでは、借入以外で個人事業主が資金調達する方法について解説していきます。

返済不要の補助金・助成金を活用する

補助金や助成金は、国や自治体などが事業者の成長、雇用、設備投資を支援する制度です。
採択や支給が決まれば原則として返済は不要ですが、対象者、対象経費、申請期間などの条件が細かく定められています。
そのため、募集要項を確認し、事業計画書や見積書などの必要書類を早めに準備しましょう。

また、多くの制度では、事業を実施して費用を支払ったあとに補助金が交付されます。
先に資金を用意する必要があるため、手元資金やほかの調達方法との併用も検討してみてください。

売掛金を早期に現金化するファクタリング

ファクタリングは、取引先への売掛金を専門会社へ売却し、支払期日より前に現金化する方法です。
借入ではないため、原則として返済義務はありません。

また、取引先からの入金までの期間が長く、手元資金が不足しやすい事業では、資金繰りの改善に役立ちます。
一方で、利用時には手数料が差し引かれるため、受け取れる金額は売掛金の額面より少なくなります。
そのため、複数社の手数料や契約条件を比較し、償還請求権の有無も確認してみるとよいでしょう。

個人事業主がお金を借りる際に押さえておきたい注意点

個人事業主がお金を借りる際は、融資を受けられるかだけでなく、借入後の資金管理や返済についても考える必要があります。
事業資金の私的利用や無理な返済計画は、資金繰りを悪化させる原因になりかねません。

また、返済が滞ると今後の融資にも影響します。
ここでは、個人事業主がお金を借りる際に押さえておきたい注意点について解説していきます。

借りた資金は事業目的以外に使わない

事業資金として借りたお金は、申込時に伝えた目的に沿って使用し、生活費や娯楽費へ流用しないことが基本です。金融機関から資金使途を確認された際、説明できなければ信頼を損ない、今後の融資に影響するおそれがあります。
そのため、事業用口座と個人用口座を分け、借入金の入出金を明確にしてください。

また、設備購入や仕入れに使ったことを示せるよう、領収書や請求書も保管しましょう。
帳簿へ正しく記録しておけば、確定申告や資金使途の説明も進めやすくなります。
借入後も資金の残高と使い道を定期的に確認することが大切です。

返済計画は無理のない範囲で立てる

返済計画は、売上が順調な月だけでなく、減収や急な支出が発生する状況も想定して立てる必要があります。
毎月の返済額が大きすぎると、仕入れ代や固定費の支払いに必要な資金が不足するおそれがあるでしょう。
そのため、借入額、金利、返済期間を確認し、売上が下がっても返済を続けられる水準に抑えてください。

また、税金や生活費を支払ったあとに、どの程度の資金が残るかも確認することが大切です。
もし、返済が難しくなりそうなときは、延滞する前に金融機関へ相談しましょう。

個人事業主の資金調達に関するよくある質問

個人事業主が資金調達を考える際は、開業直後でも借りられるのか、副業でも申し込めるのかなど、さまざまな疑問が生じます。
また、急いでいると、審査不要をうたう危険な業者を選んでしまうおそれもあるでしょう。
正しい知識を持ち、自分の状況に合う方法を選ぶことが大切です。

ここでは、個人事業主の資金調達に関するよくある質問について解説していきます。

開業届を出したばかりでも融資は受けられる?

開業届を提出したばかりでも、日本政策金融公庫や自治体の創業者向け融資を利用できる可能性があります。
日本政策金融公庫には、創業期や小規模事業者が相談しやすい制度があり、条件によっては特別利率が適用されます。
しかし、金利は時期や制度によって変わるため、申込前に最新の利率表を確認してください。

また、実績が少ない分、事業計画書で売上見込みや集客方法を具体的に示し、自己資金や経験も説明する必要があります。

審査なしでお金を借りられる先はある?

審査なしで個人事業主がお金を借りられる正規の金融機関はありません。
融資を行う金融機関や貸金業者は、本人確認や返済能力の調査を行ったうえで、貸付の可否を判断します。
そのため、「審査不要」「誰でも借りられる」と強調する業者には注意してください。
違法な貸金業者である可能性があり、高額な利息や厳しい取り立ての被害につながるおそれがあります。

また、急いでいるときでも、登録を受けた正規の業者かを確認し、金利や返済条件を比較することが大切です。
不安がある場合は、金融庁の公開情報や貸金業者の登録情報を確認しましょう。

副業の個人事業主でも融資は申し込める?

副業で事業を行う個人事業主でも、融資へ申し込むことは可能です。
本業から安定した収入を得ている場合は、返済能力を示す材料として評価されることもあります。

一方で、副業の売上が少ない、事業期間が短いなどの理由から、希望額どおりに借りられないこともあるでしょう。
そのため、本業と副業の収入を示す確定申告書や収入証明書を用意し、副業の事業計画も具体的に説明できるようにしていくとよいでしょう。

また、事業の継続性や今後の売上見込みを示せる資料があると、審査担当者へ説明しやすくなります。

まとめ:個人事業主のお金を借りる方法と審査のコツ

個人事業主が利用できる借入先には、日本政策金融公庫、銀行、制度融資、ビジネスローン、カードローンなどがあります。
借入先を選ぶ際は、必要額や資金使途だけでなく、金利、融資までの期間、返済負担も比較することが大切です。

また、審査では、自己資金、事業計画、所得の安定性、信用情報、税金の支払い状況などが確認されます。
借入を急ぐ場合も、返済計画を立てずに申し込んではいけません。
補助金やファクタリングなども含め、自分の事業状況に合う方法を選び、無理のない資金調達を進めましょう。

監修者

葭中 直博
YOSHINAKA NAOHIRO

営業統括部長

資格

貸金業務取扱主任資格者・3級ファイナンシャル・プランニング技能士

略歴

大手金融会社で1996年より融資部門において営業・業務管理などの管理職を歴任。
2009年8月より株式会社アップスに入社し、現在営業部トップの営業統括部長として日々金融部門のディレクションを行っている。

座右の銘

愚行遺残(ぐこういざん)
根気よく努力を続ければ、山をも動かせるなど、どんなに難しいことでもいつかは必ず成功させれること